介護施設の種類と選び方

家族の介護が在宅では難しくなってきた時、考え始めるのが介護施設です。でも、いざ調べてみると、特養、老健、有料老人ホーム、サ高住、グループホーム……種類が多すぎて、何がどう違うのか、よく分からないのが正直なところではないでしょうか。

そして、施設を考えること自体にためらいを感じる家族も多いはず。「在宅で続けるべきじゃないか」「施設に預けるのは申し訳ない」という気持ちは、家族なら誰もが持つものです。

でも、介護施設は「最後の手段」でも「家族を見捨てる場所」でもありません。本人にとっての、もうひとつの暮らしの場。本人の状態や家族の状況に応じて、無理なく選べる、暮らしの選択肢のひとつです。

この記事では、介護施設の全体像と、選び方の基本をお伝えします。各施設の詳しい情報や、目的別の選び方は、今後の各論記事でご紹介していきます。

介護施設は大きく2つに分けられる

介護施設は、運営主体によって公的施設民間施設の2つに分けられます。

公的施設は国や自治体、社会福祉法人などが運営。介護保険を使うので費用が安めですが、人気が高く待機が長いことがあります。

民間施設は民間企業が運営。比較的入りやすい代わりに費用は高めから幅広く、サービス内容も施設によってさまざまです。

公的施設の種類

特別養護老人ホーム(特養)
要介護3以上が対象の、終身暮らせる公的施設。費用は月額9万〜15万円程度。待機者が多く、看取りまで対応する施設が増えています。

介護老人保健施設(老健)
病院退院後、在宅復帰を目指す方のための施設。原則3〜6ヶ月の期限つき。医師が常駐し、リハビリが充実。費用は月額10万〜20万円程度。

介護医療院
長期療養と介護の両方が必要な方向け。医師・看護師が常駐し、医療的ケアに対応。費用は月額10万〜20万円程度。

認知症グループホーム
認知症の方が、少人数(1ユニット9名以下)で家庭的に暮らす施設。住民票のある自治体での利用が原則。費用は月額15万〜25万円程度。

民間施設の種類

介護付き有料老人ホーム
施設内に介護スタッフが常駐し、24時間体制で介護が受けられる施設。看取りまで対応する施設も多い。費用は月額15万〜40万円程度、入居一時金0〜数千万円。

住宅型有料老人ホーム
生活支援は施設で受けつつ、介護は外部サービスを利用するタイプ。介護事業者を自分で選べる自由度。費用は月額15万〜30万円程度。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
バリアフリーの賃貸住宅に、安否確認・生活相談がつくタイプ。賃貸借契約で自由度が高い。費用は月額10万〜25万円程度。

介護施設の選び方

ここまで7種類の施設をご紹介しました。「種類が多くて余計に迷う」と感じた方もいるかもしれません。選ぶときに見ておきたい4つのポイントをお伝えします。

ポイント1 本人の状態を見極める

本人の介護度と医療的なニーズで、選べる施設が絞られます。

  • 自立〜要支援:サ高住、住宅型有料老人ホームなど
  • 要介護1〜2:住宅型有料、介護付き有料、サ高住
  • 要介護3〜5:特養、介護付き有料老人ホーム
  • 認知症の症状が強い:グループホーム、認知症対応の介護付き有料
  • 医療的ケアが必要:介護医療院、医療体制の整った介護付き有料
  • 退院後のリハビリが必要:老健

「うちはどれが合う?」は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると、本人の状態に合う候補を絞ってくれます。

ポイント2 本人の希望を確認する

施設は、本人が暮らす場所です。本人の希望を確認しないまま、家族だけで決めるのは避けてください。

  • どの地域に住みたいか
  • 個室がいいか、相部屋でもいいか
  • 食事の好み、宗教上の制限などはあるか
  • 自由度が高い暮らしを望むか、安心感を優先するか
  • 看取りまで望むか、いずれ自宅に戻りたいか
  • 夫婦で入居したいか

本人の意思が確認できる段階で、しっかり聞いておくことが大切です。

ポイント3 予算を決める

介護費用の記事でもお伝えしましたが、本人の収入・資産で無理なく続けられる範囲で選ぶのが基本です。

月額の予算、入居一時金の可否、何年くらい続く想定か、これらを家族で整理してから施設を絞り込んでいきます。

ポイント4 見学・体験で確かめる

候補が絞れたら、必ず見学に行ってください。可能なら、本人と一緒に。

見るべきポイントは、施設の雰囲気、スタッフの対応、入居者の様子、食事、レクリエーション、部屋の広さ・設備など。体験入居ができる施設も多いので、契約前に1〜2泊試すのも有効です。

💡 ここがポイント
見学は、午前と午後で雰囲気が違うことがあります。可能なら2回以上、時間帯を変えて訪問してみてください。スタッフが慣れない時間帯(食事時など)の対応も、施設選びの大事な判断材料です。

施設は「もうひとつの暮らしの場」

最後に、施設を考える時に大切にしたい視点をお伝えします。

施設は「最後の手段」でも「本人を預ける場所」でもありません。本人にとっての、もうひとつの暮らしの場です。

自宅で暮らすことが難しくなった時、慣れた地域、好きな食事、信頼できるスタッフ、同年代の友人がいる場所。そういう場所で暮らすことは、本人にとっても十分に幸せな選択肢のひとつです。

「自宅にいるのが本人にとって一番」と決めつけずに、本人にとって何が最適かを、本人と一緒に考えてみてください。施設という選択肢を持っておくことは、本人と家族の暮らしを支える、大事な準備のひとつです。

💡 ここがポイント
「施設に預けたら、もう自宅には戻れない」と思いがちですが、必ずしもそうではありません。老健は在宅復帰を目指す施設ですし、有料老人ホームを退去して自宅に戻る方もいます。施設は柔軟に選べる暮らしの場です。

おわりに

介護施設の全体像と選び方の基本をお伝えしました。

  1. 介護施設は公的施設(特養・老健・介護医療院・グループホーム)と民間施設(介護付き有料・住宅型有料・サ高住)に分けられる
  2. 本人の状態・希望・予算で選べる施設が絞られる
  3. 見学・体験で必ず確かめる
  4. 施設はもうひとつの暮らしの場として、柔軟に選んでいい

施設選びは、本人と家族の暮らしを支える大事な選択です。一人で抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センター、家族みんなで話し合いながら、納得できる選択を見つけてください。

このサイト「ゆる介護」では、今後、各施設の詳しい情報や、目的別の選び方(在宅復帰の場としての老健、認知症の方の暮らしの場としてのグループホームなど)、介護施設の見学のコツ、在宅か施設かの判断ポイントなど、各論記事で深掘りしていきます。

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