訪問介護でできること・できないこと

介護保険サービス事典

家族の介護が必要になって、最初に検討するサービスのひとつが「訪問介護」です。ヘルパーさんが自宅に来てくれて、食事や入浴を手伝ってくれる——なんとなくのイメージはあっても、具体的に何をしてもらえるのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

「お風呂は入れてくれる?」「庭の手入れはお願いできる?」「お薬は飲ませてくれる?」

実は、訪問介護で頼めることには、はっきりとした線引きがあります。なんでもお願いできる家政婦さんではなく、介護保険のルールに沿って動く専門サービスだからです。

この記事では、訪問介護でできること・できないことを整理しながら、上手に頼るための考え方をお伝えします。「これはお願いしていいの?」と迷う前に、ぜひ読んでみてください。

訪問介護とは

訪問介護は、要介護認定を受けた方が自宅で介護を受けるためのサービスです。介護福祉士や、介護職員初任者研修などの資格を持ったヘルパーさんが、ご自宅を訪問してサポートしてくれます。

サービスは大きく分けて3つに分類されます。

  • 身体介護:食事・入浴・排泄など、体に直接ふれて行う介助
  • 生活援助:掃除・洗濯・買い物など、本人の生活を整えるための家事の手伝い
  • 通院等乗降介助:通院のための車の乗り降りの介助

費用は介護保険を使うので、所得に応じて1〜3割の自己負担で利用できます(2026年現在)。要介護認定を受けていることが前提です。

訪問介護で「できること」

代表的なサービス内容を、身体介護と生活援助に分けて見ていきます。

身体介護の例

  • 食事の介助(食べる手伝い・声かけ)
  • 入浴の介助、清拭(からだを拭く)
  • 排泄の介助、おむつ交換
  • 着替えの手伝い
  • ベッドからの起き上がりや、車いすへの移乗の手助け
  • 服薬の声かけや見守り

生活援助の例

  • 居室の掃除、ゴミ出し
  • 洗濯、衣類の整理
  • 食事の準備、後片付け
  • 日用品の買い物
  • 薬の受け取り

ヘルパーさんは、ただ「家事をする人」ではなく、本人の自立を支えることを目的に動いてくれます。たとえば食事の支度でも、可能なら本人と一緒に作る、本人が手元でできることはやってもらう、というように、本人の力をできるだけ残す関わり方をしてくれます。

訪問介護で「できないこと」

ここからが重要なポイント。訪問介護には、頼めない・頼みにくいことが意外と多くあります。これを知っておくと、後で「えっ、それダメなんですか」と困らずに済みます。

「本人以外」のための家事はできない

訪問介護は、利用者ご本人のためのサービスです。だから、

  • 同居家族の食事を作る
  • 家族の部屋を掃除する
  • 家族分の洗濯をする
  • 来客のための対応や買い物

こうした「本人以外のため」の家事は対象外です。同居家族がいて、その家族が元気な場合は、生活援助そのものが原則として認められないこともあります。

「日常」を超えた家事はできない

日常的な家事の範囲を超えるものも、訪問介護では受けられません。

  • 大掃除、窓拭き、換気扇のお掃除
  • ワックスがけ、エアコンの分解清掃
  • 庭の手入れ、植木の剪定
  • 引っ越しの準備や、大きな荷物の運搬
  • おせち料理など特別な料理

これらは「ヘルパーさんの仕事ではなく、家事代行や専門業者が担当する領域」と整理されています。

「医療行為」はできない

ヘルパーさんは医療職ではないので、医療行為にあたるサポートはできません。

  • 薬の管理(本人の状態を見て薬の種類や量を変える、注射するなど)
  • 床ずれの処置
  • たんの吸引(一定の研修を受けた一部のヘルパーは可能だが、原則は不可)
  • 経管栄養の管理

「服薬の声かけ」や「飲み忘れの確認」はできますが、「飲ませる」「薬を変える」は医療行為に近い領域なので対応できません。これらが必要な場合は、訪問看護(看護師が自宅に来るサービス)が別にあります。

「日常生活に支障がない」買い物・行為はできない

  • お酒やタバコなど嗜好品の買い出し
  • お歳暮や来客用の買い物
  • ペットの世話、散歩

「生活に必要不可欠」と判断されないものは、原則として頼めません。

「できないこと」を頼みたい時は

「じゃあ、庭の手入れはどうするの?」「家族分の食事を作ってほしい時は?」

そんなとき、選択肢は2つあります。

選択肢1: 介護保険外のサービスを使う

家事代行サービスや家政婦紹介所、宅配スーパー、植木屋さんなど、介護保険の対象外のサービスを使えば、上記の「できないこと」もカバーできます。費用は全額自己負担ですが、家族の負担を減らすための投資として、十分に元が取れることも多いです。

選択肢2: ケアマネジャーに相談する

「これは訪問介護で頼めるかな?」と迷ったら、ケアマネジャーに聞くのがいちばん早道です。グレーな部分は、地域や事業所によって判断が分かれることもあるので、まず相談してみてください。

💡 ここがポイント
「訪問介護では頼めないこと」を、家族の負担として全部抱え込まなくて大丈夫です。介護保険外のサービスを使ったり、家族みんなで分担したり、ご近所に少し手伝ってもらったり。家族の介護は、訪問介護だけで完結させるものではありません。いろんな手を組み合わせて、無理なく続けるのが大切です。

おわりに

訪問介護でできること・できないことを整理しました。

できること:本人の身体介護、本人のための生活援助、通院の乗降介助
できないこと:本人以外のための家事、日常を超えた家事、医療行為、嗜好品の買い物など

線引きを知っておくと、「これは頼める、これは別の方法で」と冷静に判断できるようになります。最初は線引きが分かりにくくて戸惑うかもしれませんが、ケアマネさんやヘルパーさんに「これは頼めますか?」と聞きながら、少しずつ慣れていけば大丈夫です。

訪問介護は、家族の介護を代わりにしてくれるサービスではなく、支えてくれるサービス。家族の手と組み合わせて、上手に頼っていきましょう。

このサイト「ゆる介護」では、訪問介護のほかにも、デイサービス・ショートステイ・訪問看護など、家族の介護を支える具体的なサービスを、一つずつご紹介していきます。

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