訪問介護、訪問看護、訪問診療——。在宅介護のことを調べていると、似た名前のサービスがいくつも出てきて、「どれが何だっけ?」と混乱しませんか。
特に訪問看護は、「重い病気の人が使うんでしょ?」「うちにはまだ関係ないかな」と思われがちです。でも実は、訪問看護にしかできない仕事があって、家族の介護がずいぶん心強くなる場面がたくさんあるんです。
この記事では、訪問看護で受けられるサポートを、訪問介護・訪問診療との違いを整理しながらお伝えします。
訪問介護・訪問看護・訪問診療、それぞれの役割
まず、似た名前のサービスを並べて整理します。それぞれに固有の役割があって、お互いに重なる部分はあっても、置き換えはできません。
訪問介護(ヘルパー)
- 来てくれる人:介護福祉士・初任者研修などの資格をもつヘルパー
- する仕事:食事・入浴・排泄などの身体介護、掃除・洗濯・買い物などの生活援助
- 介護保険のサービス、要介護認定が必要
訪問看護(看護師)
- 来てくれる人:看護師・保健師・理学療法士など
- する仕事:健康状態の観察、医療処置、服薬の管理、療養生活への助言、家族へのアドバイス
- 主治医の指示書のもとで動く。介護保険または医療保険を使う
訪問診療(医師)
- 来てくれる人:医師(+看護師)
- する仕事:診察、治療、薬の処方、治療方針の決定
- 医療保険のサービス、医師が「通院が困難」と判断した場合に利用可
ざっくり言えば、
- 訪問介護は「生活を支える」
- 訪問看護は「療養生活を見守り、医療的なケアもする」
- 訪問診療は「治療する」
3つは並列の関係。家族の状態によって、組み合わせて使うことも珍しくありません。
訪問看護で受けられるサポート
ここからが本題です。看護師さんが家に来てくれると、具体的にどんなサポートが受けられるのか。大きく4つの領域があります。
1.健康状態を見守ってくれる
訪問のたびに、看護師さんは血圧・体温・脈拍・呼吸の状態を測ります。そして、本人の表情、肌の色、足のむくみ、食欲、睡眠の様子、ちょっとした変化を丁寧に観察してくれます。
家族にはなかなか気づけない微妙な変化を、専門家の目で見つけてくれるのが、訪問看護の大きな価値です。「最近ちょっと足が重そうですね」「咳の音が前と違うかも」——そんな気づきが、早めの対応につながります。
💡 ここがポイント
看護師さんは、いつも本人を見ている家族とは違う視点で観察してくれます。家族は毎日見ているからこそ、ゆっくり進む変化に気づきにくい。週に1〜2回来る看護師さんが「あれ?」と気づくことが、結果的に本人を守ることになります。
2.医療的なケアをしてくれる
ヘルパーさんではできない、医療行為に該当するケアは、看護師さんの仕事です。
- 床ずれや傷の処置
- 点滴、注射
- たんの吸引
- 経管栄養(胃ろうなど)の管理
- カテーテルの管理
- 服薬の管理(医療判断を伴うもの)
「家族が処置をするのが不安」「病院に通うのが難しくなってきた」——そんなときに、看護師さんが家に来てくれると、家族の負担と不安がぐっと減ります。
3.療養生活を支える
医療処置だけでなく、自宅で過ごす療養生活そのものを、看護師さんが支えてくれます。
- 入浴の介助(医療的に注意が必要な場合)
- 体位変換、床ずれの予防
- 排泄ケア(医療判断が伴う場合)
- リハビリ(理学療法士・作業療法士などが訪問看護ステーションから来ることも)
- 食事・栄養の相談
身体介護に近い領域でも、医療的な視点が必要なときは、看護師さんが対応してくれるのが特徴です。
4.家族への助言や精神的な支え
意外と知られていないのが、看護師さんが家族のサポートもしてくれることです。
- 介護方法のアドバイス(オムツ替えのコツ、移乗の仕方など)
- 病状や薬についての説明
- 家族の不安や悩みの相談
- 主治医との連絡や調整
「これでいいんですよ」「ここは気をつけて」と、専門家の言葉でもらえる安心感は、家族にとってとても大きいものです。
💡 ここがポイント
訪問看護は「本人のためのサービス」と思いがちですが、実は家族の心も支えてくれる存在です。一人で抱え込まず、看護師さんに「ちょっと不安で…」と話してみてください。意外と、的確なアドバイスや、ちょっとした一言で、気持ちが軽くなります。
訪問看護が頼れる場面
「うちは大きな病気じゃないから関係ない」と思っている方こそ、訪問看護を知っておく価値があります。重病人向けだけのサービスではありません。
訪問看護が頼れる場面は、たとえば、
- 退院したばかりで、自宅での療養に不安がある
- 糖尿病・高血圧などの慢性疾患の管理が必要
- 床ずれや傷の処置が継続的に必要
- 認知症があり、服薬の管理が難しい
- リハビリを続けたいが、通院は難しい
- 看取りの時期に、自宅で穏やかに過ごしたい
- 家族が介護方法に不安を感じている
これらのどれかに当てはまるなら、訪問看護を検討する価値があります。
訪問看護を使うには
訪問看護を使うには、いくつかの手順があります。
主治医に相談する
訪問看護は、主治医の指示書がないと始められません。まずはかかりつけ医に「訪問看護を使いたい」と伝えてください。先生が必要と判断すれば、訪問看護指示書を出してくれます。
ケアマネジャーに相談する
要介護認定を受けている方は、ケアマネジャーに相談すると、訪問看護ステーションを紹介してもらえます。ケアプランに組み込んでもらえば、介護保険で利用できます。
直接、訪問看護ステーションに連絡する
要介護認定を受けていない方でも、訪問看護ステーションに直接連絡することができます。医療保険を使って利用できる場合もあります。
費用は、介護保険を使う場合は所得に応じて1〜3割の自己負担、医療保険を使う場合は1〜3割の自己負担(年齢や所得による)です(2026年現在)。
おわりに
訪問看護で受けられるサポートをまとめると、
- 健康状態を見守ってくれる
- 医療的なケアをしてくれる
- 療養生活を支える
- 家族への助言や精神的な支え
訪問看護は、看護師さんが家に来てくれるサービス。それだけで、家族の介護の心強さは大きく変わります。「医療と介護のあいだ」ではなく、看護師さんならではの専門性を持って、本人と家族の暮らしを支えてくれる存在です。
「うちには訪問看護なんてまだ早い」と思わずに、必要かもしれないと感じたら、まずは主治医やケアマネさんに相談してみてください。看護師さんの目が一つ家に入るだけで、見える景色がきっと変わります。
このサイト「ゆる介護」では、訪問看護のほかにも、ショートステイ・福祉用具レンタル・訪問入浴など、家族の介護を支えるサービスを、一つずつご紹介していきます。


