家族に介護が必要になりそう。そう感じたとき、多くの方が最初にぶつかるのが「で、何をすればいいの?」という疑問です。
病院?役所?それとも介護施設?——情報はたくさんあるのに、自分の場合はどこから手をつければいいのか、意外とわからないものです。
結論から言うと、やることはシンプルです。最初に押さえておきたいのは、たった3つ。この記事では、その3つのステップを、順番にお伝えします。難しい手続きの話はできるだけかみくだいて説明するので、肩の力を抜いて読んでみてください。
ステップ1 最初の一歩は「地域包括支援センター」への相談から
まず向かう先は、地域包括支援センターです。
聞き慣れない名前かもしれませんが、ここは介護のことを何でも相談できる、無料の公的な窓口です。各市区町村に設置されていて、保健師・社会福祉士・ケアマネジャーといった専門スタッフが対応してくれます。
相談できる内容に決まりはありません。「親の物忘れが増えてきた気がする」「最近、足元があぶなっかしい」「そもそも何から考えればいいかわからない」——そんな漠然とした段階でも大丈夫です。介護・福祉・医療・お金のことまで、まとめて受け止めてくれます。
💡 ここがポイント
地域包括支援センターは、相談しても費用はかかりません。「まだ介護というほどでは…」と遠慮する必要もありません。気になった時点で、気軽に電話していい場所です。
自分の地域のセンターを探すには
地域包括支援センターは、介護を受ける本人が住んでいる地域のセンターが担当になります。離れて暮らす親のことを相談したい場合は、親が住む自治体のセンターが窓口です。
実は私も最初、「地域包括支援センター」とネットで検索してみたのですが、似たような情報が大量に出てきて、どこが自分の担当なのか、かえってわからなくなってしまいました。
そこで結局、住んでいる自治体の役所に電話して「介護の相談がしたい」と伝えたところ、担当の窓口をすぐに案内してもらえました。あれこれ調べるより、これがいちばん早かったです。ネットで探すのが難しければ、役所に電話して聞いてしまうのがおすすめです。
ステップ2 「要介護認定」を申請して、使える制度の扉を開く
地域包括支援センターに相談すると、次のステップとして案内されることが多いのが、要介護認定の申請です。
要介護認定とは、ざっくり言えば「どれくらいの介護が必要かを、公的に判定してもらう手続き」のこと。この認定を受けることで、はじめて介護保険のサービス(訪問介護やデイサービスなど)を、費用の一部負担で使えるようになります。
つまり、要介護認定は使える制度の扉を開くカギです。ここを通っておかないと、せっかくの制度が使えません。
申請から認定までの流れ
- 申請する — 市区町村の窓口、または地域包括支援センターで申請します。本人が動けない場合は、家族が代理で申請できます。
- 認定調査を受ける — 調査員が自宅(または入院先)を訪問し、心身の状態や生活の様子を聞き取ります。
- 主治医意見書 — かかりつけ医が、本人の状態についての意見書を作成します(市区町村が依頼してくれます)。
- 判定・通知 — 調査結果と意見書をもとに審査が行われ、原則として申請から30日以内に結果が通知されます。
少し手順は多く見えますが、ひとつずつ案内に従って進めれば大丈夫です。わからないことは、ステップ1で相談した地域包括支援センターが助けてくれます。
💡 ここがポイント:認定調査では「ありのまま」を伝えて
認定調査では、本人がつい「まだまだ元気です」「これくらい自分でできます」と、実際よりも頑張れるように答えてしまうことがあります。年を重ねても「若い者には負けん」という気持ち、誰にでもありますよね。我が家でも、本人は「掃除も買い物も毎日自分でできる」と言っていました。でも実際は、掃除できるのはほんの一部の範囲だけ。買い物も、毎日は出かけられなくなっていたんです。
こうして無理に元気をアピールしてしまうと、本当に必要な介護の度合いより軽く判定され、受けられるサービスが少なくなってしまうことがあります。調査のときは、見栄を張らず、今できること・できなくなってきたこと・困っていることを、ありのままに伝えてもらうのが大切です。
心配なときは、家族が調査に同席して、普段の様子をそっとフォローするのもおすすめです。「最近はこのあたりが大変そうで…」と、家族から見た実際の姿を伝えてあげてください。
💡 ここがポイント
年を重ねると、日頃から通っている病院やお世話になっている先生がいる方も多いと思います。そんなときは、その先生に「介護のことを考えていて…」と軽く話してみるのもひとつの方法です。多くの医師は介護に関わる相談に慣れているので、要介護認定の主治医意見書なども、依頼すれば適切に対応してもらえます。あらたまって身構えなくて大丈夫です。
ステップ3 ケアマネジャーという「専門の味方」を見つける
要介護認定が出たら、いよいよ実際の介護サービスを使う段階です。ここで頼りになるのが、ケアマネジャー(介護支援専門員)です。
ケアマネジャーは、いわば介護の総合プランナー。本人や家族の希望を聞きながら、どんなサービスをどう組み合わせるかという計画(ケアプラン)を一緒に作ってくれます。
デイサービスに通うのか、訪問介護を頼むのか、福祉用具をレンタルするのか——選択肢はたくさんありますが、その人に合った形を一緒に考えてくれる存在がいると、ぐっと心強くなります。しかも、ケアプランの作成に自己負担はありません。
ケアマネジャーはどう決める?
ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所というところに所属しています。地域包括支援センターに相談すれば、近くの事業所のリストをもらえます。
「どこを選べばいいかわからない」という場合も、まずは案内されたところから始めてみて大丈夫です。相性が合わなければ、後から変更することもできます。最初から完璧な相手を選ぼうと気負わなくて大丈夫です。
ケアマネジャーは、頼れる専門家です
ケアマネジャーは、経験も知識も豊富な介護の専門家です。悩んでいることや「こうしてほしい」という希望は、遠慮なく伝えて大丈夫。一人ひとりの状況に合わせて、最適なサービスの組み立てを提案してくれます。
ちなみにケアマネジャーは、看護師や介護福祉士などの資格を持ったうえで、さらに5年以上の実務経験を積まないと受験資格すら得られない、専門性の高い資格です。つまり、目の前のケアマネジャーさんは、長い現場経験を積み重ねてきたプロ。だからこそ、安心して頼れる心強い味方なんです。
おわりに まずは相談から。あとは、ゆっくりで大丈夫
ここまで、3つのステップをお伝えしました。
- 地域包括支援センターに相談する
- 要介護認定を申請する
- ケアマネジャーを見つける
並べると手続きが多そうに見えるかもしれませんが、最初にやることは、たった一つ。地域包括支援センターに連絡する。それだけです。
あとのことは、相談しながら、案内されるままに進めていけば、自然と次の道が見えてきます。全部を今日中に終わらせる必要はありません。一度にすべてを抱えなくていいんです。
介護は、長く付き合っていくもの。だからこそ、最初から飛ばしすぎず、使えるものは使って、ゆっくり進めていきましょう。
このサイト「ゆる介護」では、これから先のステップで役立つ情報も、ひとつずつお届けしていきます。あなたとご家族のペースで、無理なく続けられる介護を、一緒に考えていけたら嬉しいです。

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