家族の在宅介護、無理せず続けるための3つのこと

在宅で工夫する

家族を施設に預けず、自宅で介護する。「在宅介護」と聞くと、なんとなく「大変そう」「うちには無理かも」と感じる方も多いかもしれません。

たしかに、家族介護者の毎日には体力的にも気持ち的にも負担があります。でも一方で、住み慣れた家で家族と過ごす時間には、施設には代えがたい価値もあります。

大事なのは、全部を一人で抱え込まないこと。在宅介護は、家族の力だけでがんばるものではなく、いろんな仕組みや人の手を借りて続けていくものです。この記事では、無理なく在宅介護を続けていくための、3つの考え方をお伝えします。

1.全部を自分でやろうとしない

最初に伝えたいのは、在宅介護=家族が全部やる、ではないということです。

「家で看る」と決めたとたんに、「食事も、入浴も、トイレも、通院も、全部自分が…」と背負い込んでしまう方は少なくありません。でも、そうやって始めると、たいてい1〜3か月で限界がきます。

在宅介護を続けている家族の多くは、家族の手と、外からの手を組み合わせています。要介護認定を受けていれば、自宅に来てくれるサービス(訪問介護・訪問看護・訪問入浴・訪問歯科など)や、通うサービス(デイサービスなど)を、介護保険を使って1〜3割の自己負担で利用できます。福祉用具のレンタルも同じです。

「家族の介護を、家族だけでやらなくていい」ということが、制度として認められている。これを知っているかどうかで、毎日のしんどさは大きく変わります。

💡 ここがポイント
どのサービスをどう組み合わせるかは、ケアマネジャーと相談しながら、まず試してみるのがいいです。一度決めたらずっとそのまま、ではありません。実際に使ってみて合わなければ、変更も中止もできます。「いったん試して、合わなければ別を考える」くらいの軽い気持ちで、プランの出し入れをしていきましょう。希望はどんどん伝えていいんです。

2.完璧を目指さない

二つ目は、毎日100点を目指さないこと。

介護を始めたばかりの頃、「家族のためにできるだけのことをしてあげたい」と思う気持ちは自然です。でも、その気持ちのまま走り続けると、すぐに息が切れます。

食事を毎食手作りしなくていい。掃除を毎日完璧にやらなくていい。お風呂は週に何回かでいい。「ちゃんと」やろうとしすぎないこと——介護を続けるうえで、これが一番大事かもしれません。

家事の負担を減らすために、介護保険外のサービスもうまく使えます。宅配スーパーや食事の宅配、家事代行、庭の手入れの外注など。お金はかかりますが、あなたの時間と体力を確保するための投資です。

💡 ここがポイント
「お金を払って家事を外注するのは贅沢じゃないか」と感じる方もいるかもしれません。でも、考え方を変えてみてください。あなたの時間と体力は、家族と過ごすこと、自分を大事にすることに使うべきもの。手抜きは、続けるための工夫です。

3.自分の時間も、ちゃんと持つ

三つ目は、介護者自身の時間を確保すること。これが、もしかしたら一番難しいかもしれません。

「介護中に自分のことなんて」「家族をほったらかしにするみたいで」——そう感じて、自分の時間を諦めてしまう方は多いです。でも、介護者が倒れたら、結果的に家族にも負担がかかります。あなたが元気でいることが、家族にとっても一番です。

そのために知っておきたいのが レスパイトケア という考え方。レスパイト(respite)は英語で「休息」「息抜き」を意味する言葉で、家族が介護から一時的に離れて休めるよう、本人を一時的に預かってもらうサービスのことです。デイサービスでの数時間の預かりから、数日〜30日のショートステイ、医療ケアが必要な方のレスパイト入院まで、いくつかの選択肢があります。

「家族を預けるなんて」と後ろめたく感じる必要はありません。これらは、家族が介護を続けられるようにするためにある仕組みです。利用することは、家族のためでもあります。

地域には、同じ立場の家族介護者が集まる「家族会」や、認知症の本人と家族が集まれる「認知症カフェ」など、つながれる場所もあります。一人で抱え込まずに、頼れる場所を増やしていきましょう。

💡 ここがポイント
レスパイトは「自分が休みたい」時だけでなく、いつもの介護ができない時にも頼れる仕組みです。介護者が風邪を引いた、ぎっくり腰で動けない、入院することになった——そんな時こそ活用していい。

使う時に大事なのは、本人にもきちんと「いつから、いつまで」を伝えること。急に知らない場所に連れていかれると、本人はとても不安になります。事前に「来週から〇日間、こういう場所に行くよ」と伝えておくだけで、本人の心の準備が変わります。

場所選びも大切です。普段お世話になっている病院がレスパイトを受け入れている場合もあるので、ケアマネさんやかかりつけ医に相談して、本人がいちばん安心できる場所を選んであげてください。慣れた医師や看護師がいる場所だと、本人もぐっと落ち着いて過ごせます。

おわりに 在宅介護は、ひとりで背負うものじゃない

ここまで、無理せず在宅介護を続けるための3つのことをお伝えしました。

  1. 全部を自分でやろうとしない
  2. 完璧を目指さない
  3. 自分の時間も、ちゃんと持つ

並べてみると、どれも「抱え込まないこと」が共通しています。在宅介護は、家族の力だけでがんばるものじゃない。制度を使い、サービスを使い、人の手を借りて、自分の時間も大事にしながら、ゆっくり続けていくものです。

「在宅介護は無理」と思っていた方も、まずはひとつだけ、頼ってみるところから始めてみてください。世界が変わります。

このサイト「ゆる介護」では、在宅介護を支える具体的なサービスや道具、制度の使い方を、これからも一つずつご紹介していきます。あなたとご家族のペースで、無理なく続けられる介護を、一緒に考えていけたら嬉しいです。

タイトルとURLをコピーしました